そんな時代もあったねと

中野理絵

“ちょっと珍しい盤を紹介しようコーナー”その4。

中野理絵『ボーダーレス』

コーナー名とはうらはらに、昔のB級アイドルのアルバムを紹介するだけになってしまったので、そろそろこのへんでお開きにしたいと思います。

最後はなんと、中野理絵。なにが“なんと”なんだかわかりませんが。

メジャーにもなりきれず、アイドルマニアの話題に挙がることもほとんどない、微妙な存在の彼女。何でこのアルバム買ったんだか、僕も憶えてないです。でもやたら聴いたんだよねこれ。いろんな意味で痛々しさ満点で、ドMの男性にはグイグイきますよ。

ほとんどの曲を、森高仕事で有名な安田信二さんがサウンドプロデュースしているので、統一感のある聴きやすい音に仕上がってます。時期的に森高のブレイク直後なので、かなり意識してる感はありますね。ビジュアル含めて。唯一、安田さんがアレンジしていない曲である「女学生の友」の作曲者に棚谷祐一、直枝政太郎(現:直枝政広)の名前があったりするのも、その流れか。

このアルバムがリリースされた1990年という年は、まさにバブル末期。いつまでも好景気が続くと信じて浮かれてた感が、歌詞にも色濃く反映されている。当時まだ17歳だった女の子を地方から連れてきて、俗に言う“ワンレンボディコン”で武装させ、大人びた歌を歌わせる。これだけでも無理があるのだが、彼女の不安定なボーカルが、さらに“無理無理感”を増幅させ、凄いことになっちゃってるんだな。

あの時代だったからこそ作れたアルバムだと思うと、バブルも悪くないよね、なんて遠くを見ながら思う此の頃。