極私的松田聖子エピソード集 part10

NO MORE 中田ヤスタカ小麦色のマーメイド」を初めて聴いた時、“これって「赤いハイヒール」のアレだよね”と、一部の松本隆マニアは気づいたと思うが、一般の人達はそんなことわかるはずもないので、ちょっとした騒動になった。

いわゆる“裸足のマーメイド騒動”だ。

これに対して松本さんはわざわざ「ザ・ベストテン」においてコメントを発表されたりもしたが、内心はウンザリだったことだろう。

1982年に発売された「よい子の歌謡曲」(No.11 表紙:中森明菜)に掲載された松本さんのインタビューでも、

Q:“裸足のマーメイド”の件で、ベストテン(9月16日放映)を見せていただきましたけど。ベストテン見る前に僕がきづいたんですけど、太田裕美の「赤いハイヒール」に“おとぎ話の人魚姫はね”、アレだと思ったんですけど。

松本:ホントにそうだね。

(中略)

書いてる時から、こう書けばこういう風に言う奴がいるだろうなと。


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と、語っておられたが、最近でも「惑星になりたい」に関して松本さんはツイッター

この歌が発表されると、「冥王星は惑星じゃない」と知ったかぶりをする奴らがワサワサと沸くのが予想される。冥王星のような幽玄で神秘的な星を、簡単に切り捨てられないんだな、ぼくは。
https://twitter.com/takashi_mtmt/status/653600980647284736

と皮肉っぽく発言されている。

何十年経っても全くブレてなくて、やっぱ松本さんだなぁ、と安心した。

「よい子」の松本さんインタビューは聖子ファン必読なので、なんとか手に入れて読んでみてください。“全文画像掲載してくれ”とのお願いは受けかねますので悪しからず。

***

ちょうど“裸足のマーメイド騒動”が起こりつつあった1982年の8月に、聖子さんは新宿コマ劇場のステージに立った。「聖子フェスティバル」(いわゆる「聖子ちゃん祭り」)だ。

この時は通常のプレイガイドでのチケット販売はなく、コマ劇場の窓口のみでの販売だった。その為にチケット発売日には大勢のファンがコマ劇場を取り囲み、僕が到着した時には既に長蛇の列。これはひょっとしてチケット買えないかも?、と顔面蒼白になった。

しかしなんとか無事にチケットが手に入って一安心。


このステージでも前年の野音の時のようにくるくるとターンしてスカートを舞い上がらせてたが、案の定その時の写真が三流芸能ゴシップ誌に掲載されていましたね。胸に「S」の文字が書かれたチアリーダーの衣装のやつ。だからあれはね、絶対確信犯なんだって。

コマ劇場の“○○ちゃん祭り”といえば山口百恵さんの「百恵ちゃん祭り」が有名だけど、それを聖子さんが引き継ぐことになったのかな?、とも思えたが、聖子さんはこの年の1回だけで、翌年の83年からは百恵さんと同じ事務所の後輩である堀ちえみさんが「ちえみちゃん祭り」を数年に渡って行うことになる。

まぁこのへんはいろいろと大人の事情があったのだろう、と納得した。

「ちえみちゃん祭り」は、よみうりランドオープンシアターEASTで行われた「野外編」を見に行ったことがありますね。

ちなみに、聖子さんが1980年にフリーライブを行った「グリーンステージ」を改装したのがオープンシアターEASTだと勘違いしてる人が多いみたいだが、あれは別会場。


聖子フェスティバル 1982年8月2日 新宿コマ劇場

第一部(TOTAL TIME 1時間00分)

「聖子ドリーミング」と題された第一部は、ミュージカル風の歌とコント。共演は漫才コンビおぼん・こぼん、ダンサーのダンディーズ。この中で聖子さんは以下の4曲を歌った。「ロックンロール・デイドリーム」は、聖子さんとダンディーズによるダンスシーンを盛り込むために、普段のライブではカットされてしまうギターソロを含む長めの間奏を加えた、この時だけのスペシャルアレンジで演奏された。騒ぎたくて仕方ない少年達を、歌い終わるまで完全に黙らせた「Endless Love」のボーカルは圧巻だった。

01.ダンシング・スター(Sylvie Vartan)日本語訳:山川啓介
02.ロミオとジュリエット
03.ロックンロール・デイドリーム
04.Endless Love(Diana Ross & Lionel Richie


30分間の休憩


第二部(TOTAL TIME 0時間57分)

「聖子ビッグヒット」と題された第二部は通常のライブコンサート。発売されて間もない「パイナップル」のorange side(アナログ盤でいうB面)収録曲を軸とした珍しいセットリストで、「パイナップル」好きにとっては見たかったライブなんじゃないだろうか。

セットリスト

01.渚のバルコニー

MC1

02.青い珊瑚礁
03.白いパラソル
04.ピンクのスクーター
05.水色の朝
06.レモネードの夏

MC2

07.南太平洋 〜サンバの香り
08.SQUALL

バンドメンバー、コーラスの紹介

09.チェリーブラッサム

MC3

10.夏の扉
11.風は秋色
12.風立ちぬ
13.赤いスイートピー

MC4

14.小麦色のマーメイド

MC5

15.Only My Love

アンコール

16.SUNSET BEACH


聖子さんのベストパフォーマンスといえば「クリスマスクイーン」が真っ先に頭に浮かぶ人が多いと思うけど、この「聖子フェスティバル」の第二部もかなりのもの。

「聖子フェスティバル」がファンの話題に挙がりづらい要因として、第一部がコント中心だったことと、第二部の時間が通常のコンサートの半分だったことが大きいと思う。

さらに「クリスマスクイーン」は断片的に映像や音声が公式に残ってるから伝説として語り継がれやすいけど、「聖子フェスティバル」は何も残ってないから語られづらい、ということもあるのかもしれない。当時ワイドショーで数秒の映像を見た記憶があるが、ある程度まとまった形では世に出てないハズで、実際にステージを見た人以外にとっては、“フェスティバルってなんやねん?”状態だろう。

本編ラストの「Only My Love」からアンコールの「SUNSET BEACH」までの流れは、僕が見てきた聖子さんの数々のコンサートの中でも、特に強く印象に残ってる名シーンのひとつ。

1982年にこの内容を中規模会場のコマ劇場で見れたというのは、今となっては奇跡としか思えない。

この「聖子フェスティバル」をはじめ、「Fantastic Concert」、「アン・ドゥ・トロワ」でバックダンサーを務めたダンディーズだが、先日、山口百恵さんのラストコンサート映像を見てたら、バックダンサーがダンディーズでびっくり!

ただ、構成メンバーがどの程度被ってるのかは不明。人数も聖子さんの時は4,5人だったけど、百恵さんの時は10人前後いたしね。

バックバンドは桜田淳子さんから引継ぎ、ダンサーは山口百恵さんから引継いだということか。

***

出待ち写真その1


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