極私的松田聖子エピソード集 part13

kzroom2016-01-131983年に東京で最初に行われたコンサートは通常の形式ではない、FM東京主催による企画ライブだった。

「ザ・コンサート アイドルからの飛翔」と題されたこのコンサートは、葉書による事前応募で抽選に当った人のみが招待されるプレミア度の高いもので、なんとしてでもこれを見たかった僕は、50枚くらい葉書を出して見事に当選した。

当選者には当選通知の葉書が届き、コンサート当日にそれを持って会場へ行き座席指定券と交換してもらう、という流れだった。

会場となった東京厚生年金会館へは始発で向かった。現地に到着してから並ぶこと数時間、お昼頃に当選葉書を座席指定券に交換。そこに記載されていたのは「補列」という意味不明なものだった。


一旦帰宅して夕方頃に再度会場へ。入場して自分の席である「補列」を探してみたところ、なんとそれは1列目の前(普段はオケピに使用されるエリア)に設置された席、つまり最前列だったのである!しかもほぼ中央。

聖子さんのコンサートを最前列で見るなんて初めてだったから、急に鼓動が激しくなってきたのをよく憶えてる。

このコンサートが行われた1983年5月4日といったら、「天国のキッス」が発売されたちょうど1週間後だ。あのビジュアルの頃だよ。考えてもみて欲しい。

83年の松田聖子を目の前で2時間堪能できたなんて、僕はなんというラッキーボーイだったのだろう。今思い出しただけでもクラクラしてくる。

このコンサートの模様はFM東京で生中継されたので、聴いた人も多いと思う。現在では当時エアチェックされた音源をネットで聴くこともできる。

ところでこういった公開生放送は、放送前、放送後、CM中、などの放送に乗らない部分は現場にいた人のみしか知り得ないことだが、このコンサートに関して言えば、放送で流れたそのまんまです。CM中は客席、ステージ共に暗転して、CMの音声だけが小さく場内に流れてましたね。聖子さんの衣装替えもCM中に行われていた。

そんなこんなで夢のような2時間はあっという間に終わったが、もしもタイムマシンがあったら僕はこの日に戻ってもう一度これを体験してみたい。それくらい至福の2時間だった。


1983.5.4 東京厚生年金会館 TOTAL TIME 1時間50分

セットリスト

00.楽屋からメッセージ

CM

00.Overture(赤いスイートピー
01.ピンクのスクーター
02.モッキンバード

MC1

03.四月のラブレター
04.黄色いカーディガン

MC2

05.レモネードの夏

MC3

06.LOVE SONG

MC4

07.SQUALL

CM

08.Yesterday(The Beatles
09.And I Love Her(The Beatles
10.Hey JudeThe Beatles

MC5

11.雨のリゾート(with 杉真理

MC6

12.SUNSET BEACH(with 来生たかお

CM

13.裸足の季節
14.青い珊瑚礁
15.風は秋色 

MC7

16.チェリーブラッサム
17.夏の扉
18.白いパラソル
19.風立ちぬ

MC8

20.赤いスイートピー
21.渚のバルコニー
22.小麦色のマーメイド
23.野ばらのエチュード
24.秘密の花園

MC9

25.天国のキッス

アンコール

26.Only My Love


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天国のキッス」でも前作同様、購入者プレゼント企画があった。この曲は近藤真彦さんの新曲と同日発売だったから、負けるわけにはいかなかったんだよね。


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野菊の墓」の舞台挨拶は学校行事の為に参加できなかったが、「プルメリアの伝説」の舞台挨拶はなんとか行くことができた。

2階席の一番前から300ミリレンズで撮影(1983年7月2日撮影)。






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1983年に東京で最初に行われた通常のコンサート「アン・ドゥ・トロワ」はNHKホールだった。

前年に武道館を満員にした歌手がNHKホールじゃ、キャパが小さすぎてチケット入手が困難になるだろう、と思ったらそのとおりで、この頃から油断できなくなってきましたね。よく6列目なんてとれたなぁ。

そして残念なことに、デビュー時から聖子さんのステージを支えてきたコールアカシア、ザ・コンソレーションの皆さんとのコンサートツアーは、この「アン・ドゥ・トロワ」が最後になった。

聖子さんとコールアカシア&コンソレーションの共演が(オフィシャルの音楽ソフトでは)「レモンの季節」でしか聴けないのがなんとも勿体無い。

独身時代のライブビデオとしては「Seikoland」、「SEIKO CALL」(Seiko Prism Agency)の2本が発売されているけど、あれが“全盛期の松田聖子のステージ”だと思われたら非常に心外だ(僕は“心外”と言える立場じゃないけど)。シングル曲を中心に適当に編集しただけの「レモンの季節」は“ライブビデオ”と呼べる代物ではない。ビデオ発売はされなかったけどテレビで放送された「クリスマスクイーン」も酷い編集だった。

あの頃の松田聖子、コールアカシア、コンソレーション(指揮の小野寺忠和さんも含む)が一体になって作り上げていたステージは本当に素晴らしいもので、文字通り“同じ釜の飯を食った”(ツアー前には聖子さん含めて合宿していた)メンバーで約3年間積み重ねてきたライブパフォーマンスの集大成が、この「アン・ドゥ・トロワ」ツアーなのです。

映像が残ってる可能性すら低い「アン・ドゥ・トロワ」ツアーのライブビデオがノーカットで発売されるなんてことは夢のまた夢でしかない。このツアーの素晴らしさを現代に伝えられるのは、僕が個人的に所有していたライブテープのみ、というのがもどかしい。

松田聖子の凄さを語ってる人の大半はスタジオレコーディング作品の素晴らしさについてばかり話しているが、コンソレーション時代のライブパフォーマンスに触れていない「松田聖子論」なんて、後付の「知ったか論」だよ、とまでは言わないが、コンソレーション時代のまともな公式音源が存在しない以上、こればかりはどうしようもない。


1983.7.27 NHKホール TOTAL TIME 1時間58分

セットリスト

00.Introduction
01.天国のキッス
02.秘密の花園

MC1

03.ピーチ・シャーベット
04.ハートをRock

MC2

05.青い珊瑚礁
06.〜南太平洋〜サンバの香り
07.SQUALL
08.マイアミ午前5時
09.小麦色のマーメイド

MC3

10.小さなラブソング
11.LOVE SONG

MC4

12.ガラスの林檎
13.レモネードの夏

MC5

14.セイシェルの夕陽

バンドメンバー、コーラスの紹介

15.The Shadow Of Your Smile(Tony Bennett、etc)英語詞
16.Fly Me To The Moon(Peggy Lee、etc)英語詞

MC6

17.Here Come The Night(Barry Manilow)日本語詞
18.Some Kind Of Friend(Barry Manilow)英語詞
19.ロックンロール・デイドリーム
20.Je t'aime

MC7(ダンサー、指揮者の紹介)

21.裸足の季節
22.白いパラソル
23.野ばらのエチュード
24.風立ちぬ

MC8

25.渚のバルコニー
26.風は秋色
27.チェリーブラッサム

MC9

28.夏の扉

アンコール

29.赤いスイートピー
30.Only My Love


上記のセットリストは初日の7月27日分で、翌日の7月28日は「LOVE SONG」の後にMCを挟まずに「レモネードの夏」が歌われ「ガラスの林檎」は「Je t'aime」の次のMC後に移動、さらにMCを挟んで「裸足の季節」、という流れに変更されていた。僕は最初の二日間の東京公演しか観てないので、他の会場でもセットリストの変更があったのかはわかりません。ご覧になった方の情報を切に求めます。


このコンサートツアーのポイントは

  • 天国のキッス」がスローテンポで始まる
  • 「SQUALL」のエンディングが新展開のアレンジ
  • 小麦色のマーメイド」がボサノバアレンジ
  • このツアーでしか聴けないカバー曲多数

などかな。

現在ネット上に出回ってるセットリストの多くは「ピーチ・シャーベット」が抜けているが、これはネタ元となったファンクラブ会報が間違っていたためか?

「ハートをRock」はこれ以降数十年歌われることがなかったためレア曲になってしまったが、この時は例のモータウンビートに客が付いてこれず、2コーラス目まで手拍子がグダグダになるという、珍しい現象が起きました。

ボサノバアレンジで歌われた「小麦色のマーメイド」がなかなかの絶品で、バンドメンバー紹介後に歌われたボサノバメドレー共々、他で披露されなかったのがつくづく残念。

バリー・マニロウのカバー「Here Come The Night」がこれまた素晴らしい名唱で、「振り向けば...聖子」あたりで歌って映像を残しておいてほしかったですね。

このコンサートの数日後、久しぶりにニッポン放送前で出待ちをした後、有楽町のゲームセンターで始発まで時間を潰したというどうでもいいことと、この「アン・ドゥ・トロワ」ツアーが何故かセットで記憶されていて、今でも「ユートピア」を聴くと、1983年の夏にあったこの二つの出来事が思い出される。

ゲームセンターが24時間営業できた時代の話(新風営法施行前)でした。


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ここで、松田聖子のコンサートを支えた歴代のバンドの中でも、僕が最も愛してやまない「ザ・コンソレーション」というバンドについて記しておきたいと思う。

ザ・コンソレーションのメンバーについては、「Fantastic Concert」、「聖子フェスティバル」、「アン・ドゥ・トロワ」のコンサート内で個々に紹介するコーナーがあったので、大まかな編成は判明できました(敬称略:フルネームが解った方のみフルネームで記載)。

リードギター:舘村
サイドギター:小堀浩
ベース:新井
ドラム:奥谷
パーカッション:藤田→小林
ピアノ:今城嘉信
キーボード:水野
アルトサックス、テナーサックス:川端
バリトンサックス:熊井
トランペット:田村夏樹
トランペット:乾→池田

パーカッションは82年6月〜7月頃に交代したと思われますが正確にはわかりません。また「アン・ドゥ・トロワ」では桧山さんという方が加わって二人体制になったり、「クリスマスクイーン」ではコンソレーションとは別に白石さんという方が紹介されていたりするので、パーカッションについては流動的だったように思います。

ホーンセクションは81年まではトロンボーン二人を加えた6人編成だったが、「Nice Summer Seiko」リハーサルの集合写真にはトロンボーンの二人が写っていないのが謎。82年春の「Fantastic Concert」からはトロンボーン無しの4人編成に固定されたようです。2ndトランペットは「聖子フェスティバル」のメンバー紹介までは乾さんでしたが、「アン・ドゥ・トロワ」では池田さんと紹介してるので、恐らく82年の秋頃から83年の夏前までの期間に交代したと思われます。また、指揮を担当してた小野寺忠和さんも、トロンボーンで演奏に加わっていたのを何度か見た記憶があります。小野寺さんはテレビ番組の収録時にはほとんど参加していなかったので、「ザ・スター 振り向けば…聖子」や「聖子 夏を行く」などでは、ギターの舘村さんが要所要所で指揮をとる姿が確認できます。小野寺さんの姿が確認できる映像は、テレビ放送された「クリスマスクイーン」くらいですかね。黒のタキシード姿で指揮棒を振る姿には惚れ惚れしてしまいますが、他のコンサートなどでは白いスーツを着てた印象が強いです。

メンバー紹介のパートは「聖子フェスティバル」などで聴かせた、パーカッシブなリズム隊から徐々に「チェリーブラッサム」に寄せたアレンジに移行し、最後はコールアカシアがグッとムードを盛り上げて「チェリーブラッサム」に繋げる、という構成がめちゃくちゃかっこ良くて好きでした。

そういえば「クリスマスクイーン」の「星空のドライブ」前に演奏されたインストはコンソレーションのオリジナル曲なんだろうか?このインストから「星空のドライブ」、「一千一秒物語」へと続くところが僕にとっては間違いなくこのコンサートのハイライトだったが、テレビやラジオの放送時にはバッサリとカットされてしまった。


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この「Seiko Love Message」という非売品のカセットテープは、見たとおり『ユートピア』の販促用に制作されたもので、僕は新宿帝都無線で予約特典として貰いました。

山野楽器や新星堂の予約特典も事前に確認したけど、このテープを特典にしてたのは帝都無線だけでしたね。

ところで何で同じ物を二本持っているのかというと、翌年に『Tinker Bell』が発売される前に予約特典の確認の為に各店を廻ってた時、帝都無線で「時間の国のアリス」の別ジャケ盤が並んでたのを見つけて、“これも買っておかないと”と、レジに持っていったら、頼んでもいないのにこのテープをオマケにくれたのです。なぜ今頃去年の特典を?と思ったが、貰えるものは貰っておいた。

今ではそこそこのコレクターズアイテムになってるようだけど、他にはどういった配布のされかたをしたのか興味ありますね。これ持ってる方、どうやって入手しましたか?(オークションや中古で手に入れたというのはNG)


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こちらの生写真セットは『プルメリアの伝説』のサントラの予約特典。


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このフィルムの切れ端は『プルメリアの伝説』のビデオカセットの予約特典。


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