極私的松田聖子エピソード集 part9

あのベスト盤まったく購買欲がわかない渚のバルコニー」は久しぶりのポップチューンで、初めて聴いた時はまさに“キター!”だった。

B面の「レモネードの夏」も遜色の無い出来だったし、この2曲の流れを汲んでリリースされたアルバム『Pineapple』は超名盤だしで、1982年の夏はこればかり1日5回くらい聴いてましたね。

ただ「レモネードの夏」が『Pineapple』にも収録されたため、最初はちょっと損した気分がしたのも確か。

でも今になってみれば、あの並びで正解だったのかもな、という気がする。

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前回も載せたこの画像のように、東京での1982年最初のコンサートは3月に行われる予定だった。


しかし聖子さんの急病により5月に延期されることになるがチケットはそのまま流用されたため、3月の日付が記載されている。この時も前年の「Nice Summer Seiko」コンサートと同様に文化放送主催だったので、ファンクラブでの優先販売では買わずに新宿PePeの文化放送プレイガイドにて購入。そしてまたもや6列目という良席。


この時のコンサートツアーの一部が「レモンの季節」というタイトルでビデオ発売されたわけだが、まだ当時はビデオデッキを持っていなかったため、すぐには購入しなかった。確か買ったのは翌年暮れの武道館コンサートの物販だったと思う。

「レモンの季節」は聖子さんにとって初めての映像作品だったが、ここで僕は大きな難題にぶち当たることになる。それは彼女がCBSソニー所属だったため、今後発売される映像作品の中には、ベータのみでしか発売されない作品が登場するのでは?、という不安があったため、ベータとVHSのどちらのデッキを購入するべきなのか決めかねる、というものだった。

実際には聖子さんの映像作品は全てベータとVHS両方発売されたので問題はなかったのだが、当時ビデオデッキの購入を検討していた聖子ファンは、ベータとVHSのどちらにするか人並み以上に迷ったものでした。その頃の僕の周りでのベータとVHSのシェアは互角でしたね。

結局僕が最初に買ったビデオデッキはVHS。1983年9月に秋葉原のナカウラ電器にて購入。最初に録画したのは「ザ・ベストテン」の「ガラスの林檎」だった。

「レモンの季節」が収録された「FANTASTIC CONCERT」は、その後長らくコンサートでは歌われることがなかった「いちご畑でつかまえて」なんかもあって、思い出深いコンサートですね。たぶん独身時代に「いちご畑」を歌ったのって、この時だけじゃないかな?(イベントやテレビ番組収録時は除く)

“クシュン”を生で聴けたのは貴重かもね。

「レモンの季節」より「いちご畑でつかまえて


Fantastic Concert 1982年5月29日 NHKホール 

セットリスト (TOTAL TIME 1時間53分)

00.Introduction
01.YOU & ME※
02.裸足の季節
03.青い珊瑚礁
04.風は秋色

MC1

05.やりたいことがいっぱい(ミュージカル「バイ・バイ・バーディー」より)
06.いちご畑でつかまえて
07.一千一秒物語
08.ロックンロール・デイドリーム

MC2

09.聖子の「ハイスクールララバイ」(イモ欽トリオのカバー)
10.制服
11.赤いスイートピー

MC3

12.Sing(Carpentersのカバー)
13.Endless Love(Diana Ross & Lionel Richieのカバー)
14.Yes I Love You(Sergio Mendezのカバー)

Intermission

15.ガラスの入江
16.南太平洋 〜サンバの香り
17.SQUALL
18.踊り明かそう(ミュージカル「マイ・フェア・レディ」より)

MC4

19.ディ・ドン(ミュージカル「Irma La Douce」より)

バンドメンバー、コーラスの紹介

20.チェリーブラッサム
21.夏の扉
22.白いパラソル
23.風立ちぬ
24.渚のバルコニー

MC5

25.別れの時まで(Buffy Sainte-Marieのカバー)
26.YOU & ME※

アンコール

27.Only My Love
28.グッド・ナイト・マイラブ※

※YOU & ME、グッド・ナイト・マイラブの2曲は、作詞:山川啓介、作曲:小田裕一郎による、コンサート用オリジナル曲


「レモンの季節」はシングル曲を中心にブツ切り編集されただけのビデオで、このコンサートの本質が全く考慮されていないのが残念。このツアーでしか歌われていない曲は多いし、なんと言っても全編ファルセットで歌われた「ガラスの入江」(ピアノの弾き語り)はオフィシャルで残してほしかったですね。

「ガラスの入江」がファルセットで歌われたことについて、そういえば前年のコンサートツアーでピアノの弾き語りをした「君と歩いた青春」もファルセットだったなぁ、ということを思い出し、キーを調べてみたところCでした。参考にしたと思われる太田裕美さんのカバーのキーはAなので、1音半上げですね。

・「ガラスの入江」(レコーディング音源)のキー:B♭
・「ガラスの入江」(聖子ピアノ弾き語り)のキー:C
・「君と歩いた青春」(太田裕美ver)のキー:A
・「君と歩いた青春」(聖子ピアノ弾き語り)のキー:C

自分の声にキーを合わせるのではなくて、ピアノが弾き易いようにキーをCにしたためにファルセットになった、と考えるのが妥当な気がします。

ちなみに「ガラスの入江」のピアノ弾き語りレッスン中の音源が録音されたカセットテープを聖子さんがテレビ番組で紹介したことがあって、その中で聖子さんの口から発せられた“先生”が大瀧さんではないか?という憶測が飛んだが、あれは当時の聖子さんの音楽監督でありバックバンドのザ・コンソレーションを指揮していた小野寺忠和さんです。

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現在ではすっかりお馴染みになった「事前に録音したメンバー紹介の音声を流している間に衣装替え」という手法を初めておこなったのは、この「FANTASTIC CONCERT」。

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今では考えられないが、昔はテレビ・ラジオの番組収録時でも、ストロボさえ使わなければ撮影しても何も言われなかった。当然入場時のカメラチェックなんてものはない。そんな時代です。


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