曾我泰久ライブツアー『Stand Alone』を終えて

kzroom
まず最初に私事ですが。

やっちんのライブツアーが無事に終わった直後、左足を負傷してしまいまして、人生初の救急車搬送→車椅子→松葉杖という、なんともトホホな事態に。

全治3週間とのことで、現在も松葉杖無しには歩行不能。この事故が1週間早かったら、アストロホールとam HALLへ行くことはまず叶わなかった、と思うと、逆に運が良かったのかなぁ、とポジティブに考えてます。

ということで家に篭りっきりなので、やっちんのライブツアー『Stand Alone』について振り返ってみることにします。

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3年前に行われた前回のライブツアー『music Life Tour』は、東京公演が終わってから約3ヶ月後に、追加公演という形で大阪と名古屋でのライブが行われた変則的なものだった。

今回は予め全日程が事前に発表されてはいたけど、初日の名古屋から1週間空いて東京、移動日無しで大阪という、かなり無理なスケジュール。ドラムの衛藤浩一さんに至っては、東京公演の前日に自身のユニット“BAB”のライブを23時過ぎまで行い、翌日に昼夜2ステージ。ライブ後には握手会をして、休む間もなく車で大阪へ移動という、相当無茶なスケジュール。一番体力を必要とするドラマーというパートにも関わらず、よく頑張ったね。今回のツアーの一番の功労者は衛藤さんだと思う。

ライブで演奏する度に“大切な曲”ということを強調してきた「Stand Alone」という曲をツアータイトルに掲げたことからもわかるように、やっちん本人の意気込みもかなりなものだったと思われる。“ソロライブの集大成”という発言も聞かれたが、現在の“やっちんバンド”のメンバーが固定されて久しくバンドの音も安定してきたので、“やるなら今だ!”という思いが先の発言に繋がったのかもしれない。ライブ映像を記録することになったのも、その流れだろう。

今後は、“今までと趣向の違うソロライブ構想”があるそうなので、今回のライブツアーのようなバンドスタイルによるライブは暫くお目にかかれなくなるのかもしれないが、やっちんがどういったアイデアを提示してくるのか、楽しみに待ちたいと思う。

では簡単に全曲の感想。

  • Up Beat
    普段はライブ後半で演奏されることが多いが、オープニングに持って来るとかなり新鮮な印象を受けますね。
  • Round & Around
    この曲を衛藤さんのドラムで聴く度に、いろいろ妄想してしまう人は多いと思う。
  • 愛を育てよう
    弾き語りで演奏される機会が多いが、意外にもバンド向きかも?、と思わせるタイトな演奏だった。
  • どれ位・・・
    この曲を生で聴いたのはON & OFF のライブ以来だが、バンド演奏で聴いたのはいつ以来だ?。やっちんソロ曲の中でトップ3に入るほど好きな曲なので、感激もひとしお。
  • 始まったばかりのストーリー
    3年連続で、その年の最初に行われたバンドライブで演奏されているという事実に気付いた人は、相当のマニア。
  • Just Summer for You
    大阪のラストでこれを演奏した時は、かなり込み上げて来るものがありましたね。ライブ用に予め打ち込んでシンクロさせてるシンセのメロディーが「Immigrant Song」だと、今頃気が付いた。最後の“♪I Love You〜”のところのバンドへの指示の出し方は、まるで山下達郎が乗り移ってるようだったよ。
  • 秘密
    斎藤誠さんはフレットレスベースでプレイ。東京の夜公演の時、この曲の後に衛藤さんがスネアチェンジ。
  • 同級生
    こういうタイプの曲にあそこまで歪ませたギターを被せてきた吉井さんの勇気ある選択は、もうちょっと評価されるべきだと思う。
  • 〜15才〜
    この曲の肝はアコギのストロークとツインリードなんだけど、ギターは二人しかいないので、リードの片方のパートをシンセで代用。
  • Melodies for you
    初のバンドバージョン。この曲はデュエットではなく、やっちんのソロでレコーディングし直すべきだと常々思ってたが確信になったね。フレットレスベースの特性を活かしたフレージングが光った、斎藤誠さんのセンスに脱帽。
  • Carry On 2005
    ミラーボールが回ると同時にあのお馴染みのSEが流れるのだが、大阪公演ではオープニングSEが流れてしまうオペミスがあった。ありゃまずいね。この曲大好きなのに。
  • Another World
    いつもギターの弦を切らんばかりの熱演だったが、大阪公演ではついにホントに切ってしまった。リフの部分で吉井さんがワウを使ったのは、今回のツアーが初めてのような気がする。
  • 約束の場所で
    曲の導入部で、やっちんが珍しくワウペダルを使ったソロを弾くのだが、名古屋の昼公演だけワウ未使用だったのは、単純にフットスイッチを入れ忘れただけなのか?。やっちんが歌詞を間違っても、瞬時にそれを察知して一緒に間違ったコーラスを付けてた吉井さんてスゲェ!
  • ハダカノココロ
    次の「YES! YES!! YES!!!」に繋げるには、現時点では最も適した曲なんじゃないかな。最後の6弦3フレットあたりでやるハーモニクスを聴くと、妙に興奮する(と言ってもギターを弾かない人にとっては何のことだか)。
  • YES! YES!! YES!!!
    義男さんのパートを衛藤さんが歌ったが、あまりよく聴きとれず。結局全5公演中、キメのフレーズを叩き損ねたのは名古屋の昼公演のみでしたね。惜しい。ソロ用の歌詞を封印した意味はちゃんとある、と僕は睨んでるけど、その根拠はここには書かないでおく。
  • Stand Alone
    前半スローで始める、俗に言う“SRT3バージョン”。これはかなり久しぶり。
  • OVER THE BLUE
    最近のやっちんは、この曲の持ってるテーマを前面に主張してるところがあるね。
  • The Swinging in The Rain
    吉井さんがフルアコを弾かなかったのは名古屋の夜公演だけ。東京の夜公演では、間奏のピアノソロに「鉄腕アトム」が織り交ぜられていた。この曲での荒川さんはズバ抜けて冴えてたね。
  • 死ぬまでRock'n Roll(Rock'n'Roll Till I Die)
    ブルース風に始めて途中からテンポアップする、俗に言う“再会バージョン”。メンバー全員のソロパートあり。東京の昼公演で、“♪死ぬまでロッケ〜ン(ドッ、タッ、タッ)ロ〜”となるところを、“ドッ、タッ、タッ”のドラムが入る前に“♪ロ〜”と歌ってしまい、笑い崩れるやっちん、という珍しいシーンがあった。
  • 向日葵
    吉井さんと二人のアコギデュオスタイルで演奏された。
  • 春風を誘うから
    荒川さんのピアノのみで歌われた。この曲を楽器を弾かずにスタンドマイクで歌ったのは初めてだと思う。ボーカルに専念してる時のやっちんは、実に安定してる。