The Good-Bye「DANCE×3」

kzroom
作詞:野村義男
作曲:曽我泰久
編曲:The Good-Bye

1983年9月1日発売 SV-7328
1分55秒 c/w 気まぐれONE WAY BOY

収録アルバム
「OLDIES BUT GOOD-BUY!」
「Anthology 1983-1990」
「Hello! The Good-Bye」(2004年発売盤のみ)

初めてレコード化された“野村&曽我コンビ”による楽曲で、実質的なグッバイのデビュー曲とも言える曲。今まで何度も書いたけど、僕が初めてグッバイの曲を聴いたのがこれで、しかも目の前での生演奏だった。デビュー前のTBSホールでのこと。そう言った意味でも僕にとってはとても大切な曲なので、改めてこの曲について考えてみたいと思う(というほど大袈裟なものではない)。

まずタイトルの「×3」という表記は、大滝詠一「FUN×4」からでしょう(こちらは“フォータイムス・ファン”と読む)。「FUN×4」では最後にThe Beach Boys「Fun Fun Fun」を1フレーズ歌うというシャレがあったりするけど、グッバイも「DANCE×3」にビーチ・ボーイズの「Dance Dance Dance」を織り交ぜてたら一部でウケたかもよ。余談だが、ビーチ・ボーイズ「Dance Dance Dance」のイントロのギターを引用して我々を狂喜させた松浦亜弥の「桃色片想い」は、もう6年も前の曲なんだね。

冒頭の“♪Ah!〜Ah!〜Ah!〜Ah!〜”のコーラスは、The Beatles版の「Twist and Shout」を参考にしたと思われるが、ビートルズが7thコードの構成音でコーラスしてるのに対して、グッバイは9thでコーラスしてるんですよね。ビートルズがA7でグッバイがE9なんだけど、わかりやすくKeyをCで揃えて考えると、

「Twist and Shout」
ド→ミ→ソ→♭シ
「DANCE×3」
ド→ミ→♭シ→レ

なんですよね(ただしライブではポール・マッカートニーが9thの音まで上がることがほとんど)。ミの次がシのフラットって、意外と音が取りずらかったりするけど、ライブでもちゃんと再現できてるのはさすが。近年だと、2004年の「Ready Go! Tour」で演奏しましたね*1

ライブと言えば、2コーラス目の“♪Only It's My Love〜”の後に、「Twist and Shout」の“♪work it all out,ooh!〜 ”の“♪ooh!〜 ”みたいなコーラスを挿入して演奏することがあるけど、あのアレンジ好きなんだよね。グッバイとしては公式にあのアレンジでの演奏がリリースされてないけど、いつか是非!(こうして僕がネットでお願いすると、かなりの高確率で願いが叶う。マジですよ)。

右チャンネルから聴こえるミュートしたギターのバッキングとか循環コードの感じが、プロデューサーの飯田久彦さんが歌手時代に流行っていた曲風ではあるけど、何か飯田さんからの助言でもあったのかもね。“♪僕を酔わせて〜”のところでAからF♯mに転調するあたりも、いかにもですな(平行調の関係だから転調というほどのことでもないが)。

最後の“♪Let's Dance!”のシャウトが若々しくて、キューンと(死語)なりますね。奇しくもDavid Bowieの「Let's Dance」が同じ1983年リリースだったりしますが、これは偶然でしょう(たぶん)。余談だけど、そのデヴィッド・ボウイ『Let's Dance』に収録されていた「Modern Love」が、2007年のグッバイライブツアーの客入れBGMに使用されてましたね。どうでもいいことですが、ヲタはこういうことに、いちいち反応してしまうんですよ。

グッバイとしてはたぶん初めてのレコーディングだったんじゃないかと思われるこの曲ではかなり苦戦したらしく、1日かかっても録りきれなかった、というエピソードがあります。そういったことを踏まえて、若かりし頃のメンバーがスタジオで格闘してる様子などを妄想しながら聴くと、味わい深さも増すというものですよ。

♪Let's Dance!

*1:「気まぐれONE WAY BOY」の“♪Rock'n tonight〜”は野村→加賀→衛藤→曽我の順だが、「DANCE×3」の“♪Ah!〜Ah!〜Ah!〜Ah!〜”は、野村→衛藤→加賀→曽我の順。この件について某メンバー氏に“3番目が加賀さんなのは音が取りづらいパートだからですよね?”とお訊きしたら、“そのとおり”とのお答えでした。ちなみにこの9thのコーラスは、やっちんのアイデアだったらしい。