The Good-Bye Live Tour 2007 総評

ライブの余韻に浸ってるうちに8月になってしまい、こりゃまずい、と重い腰を上げてみました。元々記憶力はいいほう、とは言いながら、さすがに1ヵ月以上経つと忘れてしまうことも多いので、今のうちにまとめておくのが無難だろう、ということで。

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初日の川崎公演は、当然観るほうも初めてなのだが、演るほうも様子見、みたいな雰囲気がありましたね。若干、進行がスムーズにいかなかった部分があったりしたけど、次のステージ以降ちゃんと改善されていたのはさすが。

名古屋公演は、今ツアーの5公演中、もっとも“ライブハウス感”があった。リクエストの多かった「Please Believe Me」が日替わり曲として演奏されたりもしたし、プレミア度高し。

名古屋とうって変わって大阪公演は、まさに“コンサート”という雰囲気。座席仕様だったこともあるが、あの広くて高いステージにメンバーが現れた瞬間は、かなり感動的だった。台風の中ライブを行ったのは、たぶんグッバイ史上初、とのこと(やっちん談)。

福岡も座席仕様だったが、イムズホールというところはステージが低くて、距離感的にはかなり近く感じた。PAの感じもとても良くて、一番聴きやすい音だったのが福岡かも。公演時間が一番長かったのも福岡だった。

最終日の渋谷は、メンバーの家族や関係者も多く訪れていたようで、“千秋楽ムード”をさらに盛り上げてた感があった。そういった部分を差し引いても、まるで台本があったかのような、メンバーと古参ファンとの間で展開されたドラマにただただ感動。実にラストに相応しい瞬間だった。

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・TAKE MY HEART
「Stay Tune」が流れる中、メンバー登場。衛藤さんの力強いドラムでスタート。義男さんは今回のツアー用にオーダーしたWネックを使用。エレアコ側は3カポ。

・祭り気分でTAKE A CHANCE
前曲より間髪入れずにやっちんのギターリフ。渋谷公演のみイントロが16小節長かった。最後のブレイク後、再びギターリフへは行かず、衛藤さんのカウントで次の曲へという怒涛の展開。

・YES! YES!! YES!!!
序盤からいきなりキラーチューン登場。客は完全にヒートアップ。名古屋公演の時、終盤間際のキメのフレーズを叩き損ねて、衛藤さんとやっちんが見つめ合って苦笑い、なんてシーンがあった。この曲終了後、義男さんはSTV-70Rにチェンジ。

・PSYCHO RAIN
まさかの“No9メドレー”スタート。バンド結成前から温めていたこの曲が、ある意味完結した歴史的瞬間に、僕らは立ち会ったのである。

・Non-No Baby
ON & OFFのツアーでも演奏されてたので、あまり“初めて感”はないが、CDどおり次の曲にそのまま繋がっていく瞬間は、かなりゾクゾクした。

・〜Mirror
オルジナルよりもかなりテンポが速かったが、これはこれで勢いがあって良かったと思う。“♪おいでよここへ〜”のところでのミラーボールも効果的でしたね。

・〜光の国
名古屋公演の時、ドラムソロ後の“♪ごらんよ〜”の入り方をやっちんが完全にミスってかなり不安になったが、残りの公演はきちんとこなしてた。この曲後、ジャケット(通称“ガイコツ”)を脱ぐが、大阪公演のみ、やっちんは次の曲が終わるまで脱ぐのを我慢。ちなみにやっちんがジャケットの下に着てたのは、川崎、大阪、渋谷が“サバT”、名古屋が“Peace Moode”という文字とピースマークがプリントされた白Tシャツ、福岡が“TARGET RAGTIMES”という文字とドクロマークがプリントされた黒のTシャツ。

・YOU惑−MAY惑
「再会」、「Ready Go!」の時のようなメドレー内のショートバージョンではなくフルバージョンで、かつイントロも元々の形で演奏された。発売当時に見られた“あのステップ”もやるかな、と思ったがそれは無し。

・Hey,Girl
毎回かなり歌詞が怪しかったが、名古屋では歌が止まって初めからやり直すハメに。まるでステージ上にカンペがあるかのような気配がしたので福岡の時にステージ上をチェックしてみたけど、それらしき物は見当たらなかった。福岡ではステージ前方のモニタースピーカーの間をピョンピョンと飛びながら歌ったり、間奏で客席に降りてきたりもしましたね。ちなみにこの曲の時のみ、ドラムはジェームス曾我 from カンボジア(川崎)、バニー曾我 from インドネシア(名古屋)、ダーガ曾我 from インド(大阪)、ナタースキー曾我 from サウジアラビア(福岡)、タウンゼン曾我 from バチカン(渋谷)が担当。

・僕らの祈り
大阪公演の時、この曲の前のMCが長引いてた際に加賀さんが言った、“俺らバンドだぜ、曲やろうよ”に、かなりグッと来た。その直後に聴いた「僕らの祈り」は、ホント胸に染みた、いい演奏だった。個人的にはツアー中盤のクライマックス。

・のぞいてFeel Me, Touch Me
80年代の時のように、やっちんがキーボードを弾きながら歌うスタイルで演奏された。このスタイルでやって欲しいとずっとお願いしてたので、念願叶って感無量。川崎公演の時、2コーラス目の頭からやっちんは上のパートを歌ってしまっていたが、これもまたレア、ということで。渋谷では義男さんの目に光るものが・・・。

・ALBUM
やっちんがソロライブで歌う時は、イントロに某バンドの某曲がおまけで演奏されることがあるが、今回は忠実なグッバイアレンジ。ただしギターソロ前に16小節の新パートが挿入されていた。

・OUT OF THE TIME
ソロパートは加賀さんが歌う、ビデオ版「Fifth Dimension」バージョン。この曲よりやっちんは“サバギター”にチェンジ。

・1999
初日の川崎の時、前曲が終わってもこの曲が始まらず数十秒間沈黙、なんてことがあったが、名古屋公演以降は切れ目無く演奏されて、上手く繋がってた。さすがに義男さんのショルダーキーボードは無し。

・Don't Stop Kiss
まるでハードロックバンドかと思わせるようなヘヴィな演奏で、義男さんのギターが唸りまくり。

・CHECK it Out
「OUT OF THE TIME」からここまでの流れは、ほんとカッコ良かった。川崎のみこの曲でメンバー紹介あり。他の4公演はキーボードの林さんのみ紹介。謎の新曲(ウソ)「チェクチェクチェックが止まらない」も途中で披露された。川崎以外の4公演は、ここで客席調査。

・悲しきRadio Girl
「チェクチェクチェック」で笑った後、再びジャンプナンバー。この曲における加賀さんの弾けぶりが、見てて心配になるくらい日増しに激しくなっていった。

・REAL ME
「再会」、「Ready Go!」に続いて今回も演奏されたが、どういうわけだか、間奏のツインギターソロが怪しいことが多い。今回も大阪、渋谷あたりが怪しかった。

・TAKE OFF
川崎の時に、一部「赤いポルシェ」の歌詞で歌ってしまった、というのがあったからかどうかしらないけど、大阪と渋谷では意図的に前半だけ「赤いポルシェ」の歌詞で歌われた。しかしその際も、やっちんのソロパートからは通常どおり「TAKE OFF」の歌詞で歌われていた。前半だけ「赤いポルシェ」の場合は、ギターソロのバックにおける衛藤さんのコーラスも、“♪ふたりの世界へ〜”と「赤いポルシェ」のコーラスパターンで歌い分けていたのはさすがだ。

・Gaah×3
この曲は間奏のギターソロのかっこよさに尽きますね。ここからSTV-R2にチェンジ。

・Go to the ぱらだいす
川崎のみ、ここで客席調査。名古屋、大阪では“♪ラララ〜”の部分を、曾我チーム(右半分の客)、野村チーム(左半分の客)、加賀チーム(二階席)、衛藤チーム(スタッフ)に分けて歌わせた。

・浪漫幻夢(Romantic Game)(川崎のみ)
「再会」の時は1コーラス目の終わりと2コーラス目の終わりの部分がCDと比べて逆にしたような形で演奏されたが、今回はCDどおりの構成で演奏された。

・Please Believe Me(名古屋のみ)
“もしもいつかこの曲がグッバイで演奏される時が来るとしたら、やっちんソロのアレンジで演奏されるのかも”、という気がしないでもなかったけど、見事にグッバイアレンジでした。僕のまわりの客は、“テンチャン”のところを“やっちん”って言ってたけど、そういうものなのか?

・Hong Kong Blues(大阪のみ)
「再会」、「Ready Go!」の時には無かった、ブルースセッションの最後によくやる“あのパターン”とドラムソロがエンディングに加えられていた。

・昨日まではFunny Boy(福岡のみ)
義男さんがステージ前方にでてきて、“♪かーぜだーけーがー”の部分を客に歌わせようと指揮をとるようなジェスチャーをした時は、なんかグッときましたね。今回のツアーの名シーンのひとつだと思う。

・気まぐれOne Way Boy(渋谷のみ)
イントロが鳴った瞬間、周りの狂喜乱舞っぷりたるや、凄いもんがありましたね。古くからバンドを見守ってきた人にとって、やっぱあの曲には特別の感情があるんだよな。間違いなく全5公演のハイライトシーンでした。“やっちんのギターソロだ!”

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2003年から始まったグッバイ復活シリーズは、これにて一区切り、と言えるでしょう。そういった意味では、「再会」、「Ready Go」、「Live Tour 2007」、三つで一つの流れとして考えるべきかもしれないが、実はその三つと同等くらいに、昨年のON & OFFが重要な役割を果たしていたんではないか、と、今になって思う。あのプロジェクトがグッバイの楽曲自体が持ってる底力を改めて知らしめてくれたし、今回のツアーの精神的な後押しになったのは確かだろう。ツアーパンフにON & OFFのスケジュールまで記載されていたのは、その証拠だと思う。

今回の目玉は、やはり“No9メドレー”でしょう。ポール・マッカートニーが『Abbey Road』のB面メドレーをライブで再現した時や、ブライアン・ウィルソンが『Pet Sounds』、『Smile』を完璧に再現したのを目の前で聴いた時と同じような、なんとも表現し難い感覚に包まれた。

そして最後の最後に「気まぐれOne Way Boy」。これでグッバイはグッバイに“落とし前”を付けたんだと思う。と同時に、ファンに対する重要な決意表明でもあったと思う。

昨年のON & OFF福岡公演で、“グッバイはまだ後期が始まったばかり”、と真顔で言った時の野村義男さんの目、そして今回の「気まぐれOne Way Boy」。それらが示す真意を、僕はしっかり受けとめた。

ますますThe Good-Byeから目が離せない。