『Unsurpassed Masters Vol.15~17』 The Beach Boys



当初は、1999年の初夏頃に日本でもリリースされる予定だったS.O.Tの新作が、遂にという感じで、やっと手元に届きました。ちょうど、ブライアン・ウィルソン来日の余韻に浸りながら本作を堪能しようか、という時に、税関でのトラブルにより、ごく一部の地域に少数だけ入荷したのみで、その後のリリース情報は延期に次ぐ延期の悪い知らせばかり。遂には、レーベル倒産の話まで飛び出す始末。粗悪なコピー物も出回り、もう半分諦めかけた頃、降って湧いた突然のリリース!。と、まぁ、散々いろいろあった末、発売されてなにより、といったところです。内容に関する細かい考察は、既に専門誌や様々なサイトなどに、識者の方々による素晴らしい文献が発表されているので、ボクの出る幕はまるでありません。なもんで、個人的な感想をいくつか.....。

Vol.15は、「Good Vibrations」のバックトラックセッションをCD3枚に渡って収録。一曲だけで3枚というのも凄いが、今までこの曲に関していろいろと想像を膨らませていた部分が、少しづつでも謎を解明できるかもしれないと思うと、3枚でも少ないくらい。バックトラックのみとはいえ、ステレオMIXで聴けるのは驚きです。願わくば、ボーカルセッションのテープが発見されることを祈るだけです。Vol.16は、S.O.Tの解釈による“Smile完成形”。既発音源なども当然含まれているワケだけど、S.O.Tだけにサスガの音質。この構成の『Smile』が、今後“業界標準”となっていくのであろうか?ほんとの完成形は、誰にもわからないままの方が、“ロマンが有る”ってモノかもね。これからもマニア達は、永遠に答えの出ないクロスワードパズルを、組み立てちゃぁ壊し、を繰り返していくのです。そのパズルのヒント集ともいえるのが、Vol.17。『Smile』の残骸をCD3枚に収めようというのは、最初から無理がある話ともいえるけど、ボク達にはこれも貴重な手がかりなのです。残念なのは、大好きな「Surf's Up」のセッションが無いこと。

いつもながら、S.O.Tの音質の良さには驚かされるばかり。ブライアンが指示を出す毎に、聴いてる方がドキドキしてしまいます。彼のクリエーターとしてピークだったとも言えるこの時期の音源が、こうしてブートレッガーのお陰で日の目を見ることに、“多少複雑な思い”もあったりしますが、本音は、“がんばれS.O.T”です。

このシリーズは、次回作が“ファイナル”という話です。