Long Live Rock & Roll

時々、昔の知り合いがどうしてるか、ネットで検索してみることがある。

ずっと心にひっかかってたある男性(以後:K君)の名前をいつものように検索してみたら、K君と同姓同名の人物の訃報記事が見つかった。その記事によれば、二年前に病気で亡くなったようだった。

珍しい苗字だから恐らく本人だろうけど、念のためさらに調べを進めたら、間違いなくK君だった。画像や映像も多数残されていた。というのも、彼は亡くなる直前まで現役のバンドマンだったのである。

K君との出会いは高校の軽音部の合宿。

当初、僕のバンドは僕がギター&ボーカルで、あとはベースとドラムという三人編成だったんだけど、たまたま練習に居合わせたK君がなんとなくふざけて歌ったら面白かったので、そのままボーカリストとしてメンバーに引きずり込んだ。

しかしそのバンドは1年の学園祭後に、なんとなく自然消滅。K君は自分のバンドを結成し、僕は別のバンドへ参加。しかし、僕はどうもそのバンドとは相性が悪くて、あっさり脱退。その後再びK君をベース&ボーカルとして呼び寄せ(本来彼はギタリスト)新バンド結成。ドラムはK君のバンドのドラマーが兼任。

僕のバンドとK君のバンドとではメンバーが二人重複してるということで、ライブ時には“ふたつでひとつ”的な扱いを受けることが多く、だったらひとつにしちゃおうか?、という安易な発想から、僕がK君のバンドに加入する、という形になった。

それまではとても仲が良くて、彼の家に泊まった翌日に、そのまま二人で登校なんてこともよくあったが、ちょっとした口論で僕がバンドを脱退。今考えるとほんとにくだらないことで。それ以降一度も彼とは口を利くこともなく高校を卒業。勿論その後も一度も会ってない。

でもずっと彼のことは心にひっかかってて、時々思い出しては彼の名前を検索してみたりしていた。そしたらこんな悲しい事実に直面してしまった、と。

彼は某所周辺では有名な酔っ払い&爆音ギタリストだったようで、今回初めて知った彼の芸名で検索してみたら、いろいろなエピソードが見つかった。その文章がどれも愛のあるもので、多くの人に愛されていたことが伺われる。追悼ライブも毎年行われているようだ。

彼は日本人なら誰でも知ってる有名なお寺の息子だったんだけど、その反動だったのか、ロックンローラーとしての人生を選んだ。高校生の頃からかなりの酒飲みだったが、結局、その酒が彼の人生を縮める要因となってしまったらしい。

どうしても彼に話しておきたいことがあった。でももうそれは叶わない。僕はその言葉を自分の墓場まで持っていく。