葛巻善郎(著)「レコーディングの教科書」(曾我泰久、他)

『No.5』以降、アポロ・ボーイズを含むやっちん関連の作品のほとんどに携わっているレコーディングエンジニア、葛巻善郎さんによるレコーディングマニュアル本の第3弾。内容は初心者向けと言っていいレベルなので、よほど音楽に無知でない限りは普通に理解できる内容だと思う。

特別対談として収録されている葛巻さんとやっちんの対談内容も興味深いが、特筆すべきは付録のCDについてでしょう。やっちんソロの代表曲「向日葵」を、今年発売が予定されている再録によるベストアルバムからと、ホールでのピアノ弾き語りの2パターンを聴くことができるのだが、なんとミキシングの前後と各トラック毎の音源を別に収録してるんですよね。これはベスト盤の理解を深める意味でも貴重な素材なので、やっちんファンは必聴なのは言うまでもない。

今まではこういった製作過程のことに興味がなかった人も、一度この本を読んでみるといいと思う。別の側面から音楽を理解できるようになると、見えなかったものが見えるようになったり、聴こえなかったものが聴こるようになったりするんですよね。特にやっちんファンは、この機会を逃さないで欲しい。

2010年6月15日 初版発行、発行所:リットーミュージック