『ブルージーンズ メモリー』(野村義男、他)

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東宝映画「ブルージーンズメモリー」オリジナルサウンドトラック
近藤真彦田原俊彦野村義男
プロデューサー:ジャニー・H・喜多川、小杉理宇造
音楽監督筒美京平
1981年発売 RAL8505

Side 1

  1. ブルージーンズ メモリー(4:25)
    作詞:松本隆、作曲:筒美京平、編曲:戸塚修
    唄)近藤真彦
  2. ザ・青春セイリング(4:37)
    作詞:伊達歩、作編曲:筒美京平
    唄)田原俊彦
  3. 恋のローラースケーター(2:57)
    作詞:松本隆、作曲:筒美京平、編曲:戸塚修
    唄)近藤真彦野村義男
  4. ブルージーンズ メモリー(0:27)
    作曲:筒美京平、編曲:戸塚修
    インストゥルメンタル
  5. グッドラック・ロード(2:08)
    作詞:伊達歩、作曲:筒美京平、編曲:戸塚修
    唄)野村義男
  6. 流線スピリッツ(3:03)
    作詞:伊達歩、作曲:筒美京平、編曲:戸塚修
    唄)近藤真彦
  7. スニーカーぶる〜す(1:49)
    作曲:筒美京平、編曲:戸塚修
    インストゥルメンタル

Side 2

  1. 別離(わかれ)(1:53)
    作編曲:戸塚修
    インストゥルメンタル
  2. 理由なきロック(3:21)
    作詞:伊達歩、作編曲:筒美京平
    唄)近藤真彦
  3. 銀座カンカン娘(2:41)
    作詞:佐伯孝夫、作曲:服部良一、編曲:戸塚修
    唄)野村義男
  4. 逃げろ!!(4:40)
    作編曲:戸塚修
    インストゥルメンタル
  5. あいつのバラード(4:10)
    作詞:松本隆、作曲:筒美京平、編曲:戸塚修
    唄)田原俊彦
  6. ブルージーンズ メモリー(3:47)
    作詞:松本隆、作曲:筒美京平、編曲:戸塚修
    唄)近藤真彦
  7. いつか… どこかで…(0:40)
    作編曲:戸塚修
    インストゥルメンタル

発売当時、某歌謡ミニコミ誌周辺ではかなり話題になったサウンドトラックアルバム。その理由はまず、“たのきん映画”としては初のサントラだったということと、筒美京平先生が音楽監督を務めていたということ。この頃の京平先生は、もうほとんど御自分ではアレンジまでしなくなってしまっていたので、“作編曲:筒美京平”というクレジットに心躍ったもんです。

京平マニア的見地から言うと、「流線スピリッツ」って、田原俊彦「君に薔薇薔薇…という感じ」*1のプロトタイプだよな、みたいな細かいネタもあったりするが、京平先生としてはかなり力の入ったアルバムに仕上がっていて、「あいつのバラード」の一部に「ブルージーンズ メモリー」のメロディーを流用して、コンセプトアルバム的な印象を持たせる、というような工夫が見られる(映画ではその効果が絶大)。

ジャニーズマニア的には、このアルバムとほぼ同時期に製作が進行してたと思われる田原俊彦の3rdアルバム『No.3Shine Toshi』に収録されていた名曲「ジュリエットへの手紙」(作曲:宮下智)のメロディーの一部が「別離(わかれ)」で顔を出して、ちょっとドキッとしたりもする。このへんのアイデアは、きっとジャニーさんなんだろうな。

肝心の義男さんに話を移すと、まずマッチとのデュエットが微笑ましい「恋のローラースケーター」。初期のマッチってシンコペーション気味に歌う癖があった為、この曲でも何ヶ所か2人のタイミングがずれるところがある。それでも録り直しせずにこのテイクでリリースしてしまったことに、如何に当時のスケジュールが目一杯だったか、ということが窺い知れる。グッバイでの義男さんとやっちんは、1本のマイクを挟んで同時にレコーディングすることが多かったそうだが、この曲でも同時に録った可能性は高いですね。映画ではこの曲のシーンで2人がスケボーを滑ってるのだが、意外に義男さんがスケボー上手くて驚く。

このアルバムには義男さんの初ソロボーカル曲が2曲収録されているが、「グッドラック・ロード」と「銀座カンカン娘」のどちらが先にレコーディングされたのか、非常に興味あるところ。

それよりも義男マニア的に最大の聴きどころは、「銀座カンカン娘」のギター。この曲が、記念すべき初めてのギターダビング、と言われている。しかもその瞬間をコンソールルームで見守っていたのが、なんとあの某大物ミュージシャンだった、という逸話まで残っている。*2ひょっとして何かアドバイスでもあったのかな?とか想像すると眠れなくなってしまう。映画では「理由なきロック」に続いて、船上で“たのきん”の3人によるバンド編成で演奏される。その後に「ブルージーンズ メモリー」のインストを3人で練習するシーンがあるが、こちらはサントラには収録されていない。この一連のバンドシーンで義男さんが手にしているのは、当時テレビ番組に出演する際にもよく使っていた、KAWAIのムーンギター。ビデオソフトのパッケージ裏やサントラのライナーに、ブラウンサンバーストのレス・ポールを持ってる写真が載っているが、このシーンは映画では使われていない。

順番は逆になるが、「ザ・青春セイリング」の冒頭でもギターを弾くシーンがあって、そちらではリアにハムバッキングを搭載したストラトを弾いている。その後に続くダンスシーンが見物で、序盤の最大の見所。ジャニーさんて、ほんと「ウエスト・サイド物語」好きだよね、ということがよくわかる。

このエントリーを書くために改めて映画を見直したり、先日のマッチのコンサートで大感動したりで、僕の中では現在、超たのきんブーム再燃中。

*1:「君に薔薇薔薇…という感じ」のイントロとC-C-B「元気なブロークンハート」のコーダ部が同じだと最近気がついた(どちらも作曲は京平先生)。

*2:当時RCA所属で小杉さんとは今でも深い関係、と言えば誰だかわかりますね。