曾我泰久『Soga』

kzroom
1992年4月25日発売
SHCR-1001

  1. Carry On(5:08)
    words by SHIGERU JITSUKAWA & YASUHISA SOGA
  2. 太陽のメッセージ(3:48)
    words by YASUHISA SOGA
  3. エンドレス・サマー(3:52)
    words by YASUHISA SOGA
  4. One more kiss you!(5:15)
    words by YOSHIO NOMURA
  5. それからの片思い(4:26)
    words by TAKAKO ISHIGURO
  6. Stand Alone(4:22)
    words by YASUHISA SOGA
  7. Up Beat(4:26)
    words by SHIGERU JITSUKAWA
  8. 恋しくて(5:09)
    words by YASUHISA SOGA
  9. 遠い夏(4:20)
    words by YASUHISA SOGA
  10. OVER THE BLUE〔宇宙(すべて)はひとつ〕(6:54)
    words by YASUHISA SOGA
  11. One more kiss you!(DUB MIX)(5:20)

All music & Arranged by Yasuhisa Soga

現時点で、曾我泰久ソロとしては唯一のフルアルバム。ライブでの定番曲も多く収録されていてファンにとっては必携盤であるにも関わらず、ソロ作品ではこのCDのみ生産終了で手に入りづらい、という皮肉な現状。確か2002年頃まではライブ会場の物販コーナーでも買えたような気がするが・・・*1。新参ファンが最初にぶち当たる壁が、この『Soga』でしょうね。

後年、全10曲中3曲を録りなおしている、ということからも、やっちん自身はこのCDの音像に納得がいかなかったのでは?、と思われる。当初は全く違うイントロが付いていた「Carry On」*2については、“「Twilight」+「Xanadu」”という形でジェフ・リンへの傾倒ぶりが大爆発して見事な結実を見せたが、サウンド面では悔いが残ったのでは?。そのへんのモヤモヤは、2005年バージョン(『music Life 42 1/3 RPM』収録)の完成で吹っ切れたと思う*3

前年に山下達郎が「Tokyo's A Lonely Town」*4というタイトルでカバーしたトレイドウインズの「New York's A Lonely Town」を思わせる「太陽のメッセージ」も、新録バージョン(『SRT Vol.6』収録)のほうが、当初のイメージに近い音像で録れたことだろう*5

「恋しくて」と「のぞいてFeel Me, Touch Me」の関係は、ポール・マッカートニーがウイングス時代に、「Yesterday」のコード進行を流用して「Tomorrow」を作ったのと同じようなことなのかな?、とか、「Stand Alone」って“やっちん版「Born To Run」”だよな、とか、「One more kiss you!」って「What's Going On」だよね、とか、ジェフ・リン、トレイドウインズの件以外にも音楽マニアの妄想を掻き立てられる点は多い。

ライナーのクレジットを見ると、リトル・ギャングのディレクターだったロビー和田氏(Executive Producer)、ANKHの楽曲の大半をアレンジしていた鷺巣詩郎氏(Special Thanks)、ジャニーズ事務所の先輩でクエスチョンズ時代の盟友でもあり独立時の右腕的存在だった実川茂氏(Special Thanks)、といった名前が並んでいて、諸先輩方からの“可愛がられキャラ”的人望が伺われる。

僕はこの『Soga』まではリアルタイムで購入してたんだけど、ファンクラブに入ってたわけではないし、グッバイファンの知り合いがいたわけでもなかったので、これ以降情報収集が困難になり、知らず知らずのうちにやっちん(というかグッバイ関連)と疎遠になってしまう、“私的グッバイ氷河期”に陥ってしまうのでした*6

*1:発売当時は普通のレコード屋でも買えたようで、僕は渋谷東急東横店南館にあった山野楽器で買ったのをよく憶えてる。その頃、週に1度は山野楽器で国内盤CDの新譜チェックをしてたので、運良く見つけられた。“Soga”という背表紙を見逃さずにピックアップした自分、というか、グッバイが活動停止して2年経っても、“曾我泰久”という名前を気に留めていた当時の自分に、“よくぞ買っておいてくれた!”と感謝したい気分。

*2:1stソロライブを収録したビデオ『Now Here I am』で、レコーディング前の初期形(ライブバージョンだが)を聴くことができる。

*3:トラックダウン時はELOのCDと何度も聴き比べて音決めしたらしい。そういえば「Xanadu」にもジェフ・リンがボーカルを取った“2000 Version”があったが、これがリレコのきっかけになったのかも?

*4:デイヴ・エドモンズの「London's A Lonely Town」という珍品もある。ブライアン・ウィルソン、ブルース&テリーらが参加した豪華なレコーディングのわりには、音源自体は非常にレア。これが異常にかっこいい。

*5:「New York's A Lonely Town」は、アンダース&ポンシアがフィル・スペクターに聴かせるためにデモテープを作ったもののスペクターに却下されてしまいボツになったが、せっかく良くできたデモテープなので、トレイドウインズ名義でそのまま発売しちゃいなよ!、なんて流れでリリースされた曲。という経緯を踏まえると、「太陽のメッセージ」は“やっちんなりのスペクターサウンドへの遠回しな回答”、と考えることができる(ウソ)。

*6:『SRT Vol.5』(通称“No.5”)が発売された日(2002年5月31日)にアストロホールで行われたソロライブを観に行き、ファンに復帰。現在に至る。この時期に復帰できたお陰で翌年の「再会」ライブに間に合ったのは、とてもラッキーだった。