A LONG VACATION

A LONG VACATION

昨日の大晦日、夜に備えて昼寝して夕方頃起きてネットをチェックしたら、大滝詠一さん逝去のニュースが。

好きなミュージシャンが亡くなったという知らせは、これまでにも数多く経験してきたが、今までの誰とも違った感触を味わった。リスナーとしても音楽制作に関しても、また物事の考え方とかも含めて、あまりに多くの影響を受けた方だった。

正直なところ、これを書いてる現時点でも大滝さんが亡くなった、という実感が全く無いんだけど、大滝さんの思い出みたいなものを、いくつか書いておくことにした。

  • 最初に大滝さんの名を耳にしたのは1980年頃。まだロンバケは出てなかったと思う。当時のバンド仲間の1人が大滝さんのファンで、彼から名前だけは聞かされていたけど特に興味を示すことはなかった。
  • その翌年に松田聖子風立ちぬ』がリリースされ、初めて大滝マジックに触れることになる。その後慌ててロンバケ購入。風立ちぬロンバケという順番で聴くことになったのは、果たして良かったのか?ということを長い間自問自答することになる。
  • 1983年頃、青山のパイドパイパーハウスで「Niagara Record Collecting Guide」購入。これをきっかけにコレクター魂が燃え上がる。バイトして9枚組の『NIAGARA VOX』を新宿NSビルの「新星堂」で買った帰りの、あのズッシリとした重みは、今でも忘れない。
  • 1984年頃、当時のバイト仲間が元ナイアガラーということが判明(その時はパンクスだった)。“池袋西武で行われたDJパーティーに行った時に書いて貰ったサイン持ってるからあげるよ”ということになり、なんとタダで譲り受ける。「さらばシベリア鉄道」のプロモーション用ポスターに書かれたもので、大変貴重と思われるので、大切に保管してくれる人にいつか譲ろう、と思いつつ数十年が過ぎてしまった。
  • 1985年6月15日に国立霞ヶ丘陸上競技場で開催された「ALL TOGETHER NOW」に、はっぴいえんどのメンバーとして出演した大滝さんを、遠くから拝んだ。大滝さんを生で見るのは勿論初めてだったが、それ以前に動いてる映像すら見たことなかっただけに、幻を見てるかのような感覚に近かった。大滝さんの第一声“はっぴいえんどです”は、今でも昨日のことのように耳に焼き付いている。


  • 1999年11月10日に渋谷XPで行なわれた松本隆さんの「風待パーティー」に参加。大滝さんを除くはっぴいえんどの3人から『風街ろまん』のアナログ盤ジャケットにサインを頂く。後日、大滝さんは自分が一番最初じゃないとサインをしない、と聞いて、4人コンプリートは断念。

  • 2000年3月21日に新宿ロフトプラスワンにて行われた「ど〜なってるの!?大滝詠一〜2001年ナイアガラの旅〜」に参加。この日のことは当時のサイトに書いたものが残ってるので、恥ずかしながら再掲載。

3月21日

新宿コマ劇場にて行なわれている、『川中美幸春風公演』を通りすぎ、ロフトプラスワンでのイベント、『ど〜なってるの!?大滝詠一〜2001年ナイアガラの旅〜』に参加してきました。

前半はお宝音源を交えたトークを中心に進行。きつ〜く、“言っちゃダメ指令”が発っせられている都合上、ここには詳しい曲名とかは載せられないけど、誰もが初めて聴く音源だったことは確かです。でも、出し惜しみ的にワンコーラスで絞っちゃうのはズルイよなぁ。そんなこんなで、次の曲。ナゼか、東京読売巨人軍の「闘魂こめて」が場内に流れ出し、観客は?状態。そしてなにやら入り口方面から、ジャイアンツの帽子をかぶった男がこっちへ向かって歩いてくるじゃありませんか!。その方はナ〜ント、大滝師匠御本人!。これには集まった観客も度肝を抜かれ、場内のボルテージは最高調!。その後の師匠のトークは、深夜零時を越えても止る様子は無く突っ走りまくる。一旦御開きになった後、閉店間際のAM 4:00頃、再び師匠の登場。店内に残っていた客全員と握手を交して感動のフィナーレ。

画像追加(2022/03/21)

大滝さん登場

ファンと握手

最後に再び壇上に上がって挨拶

3月22日

それにしても、昨晩ボクらが目撃した光景は、幻だったんじゃなかろうか?てなんて感じで、今日一日中ボーッとしてました。興味の無い人に興奮した口調で話したところで、全然相手にされなかったけど。当たり前か。

大滝さんが、超満員の店内をかき分けるように入場してきた時の様子は、ほんとに凄いものでした。ほぼ全員が絶叫してたと思う。マジで。野球のユニフォームの上にウインドブレーカーを羽織って、ジャイアンツの帽子。そしてヒゲ面。このオジサンに200人の大人が大興奮。素晴らしいじゃないですか!壇上に上がった神は、黒のウインドブレーカーを脱ぐ。なんと中にはもうひとつオレンジのヤツを着てました。そしてさっそうとソレも脱ぎ捨て、持参したビニールバットとボールでノック!。ここまでの流れは、野球好きな方にはもうお判りですね?先日のジャイアンツ宮崎キャンプで、長嶋監督が江藤を相手にノックする際、初めて“復活した背番号3”を披露するシーン、これを再現したってワケですよ。でも大滝さんが着てた福生エキサイターズの背番号は16でした。この後、ナゼ16番なのかという説明が延々とありましたが、人を飽きさせない話術はサスガでした。

“ユニフォームが窮屈だから、ちょっと衣替え”ということで、しばらくの休憩タイム。再開後現れた大滝さんが着ていたのは、アノ、『ナイアガラムーン』ジャケ裏写真のアレですよ!“カラーで見るの初めてでしょ?”と仰るとおりで、意外にもあれはベージュでした。そこからまた、話す話す!野球、相撲、落語のことまで、話題が脱線しまくり。でも、あっと言う間に12時過ぎてましたね。凄すぎだよ、この人。本編では、“今日はノー握手、ノーサインだからね”、と言っていたにも関わらず、閉店間際に自らボク達の方へ歩み寄ってきて、握手会状態。この光景、部外者が見たら、宗教団体の集いにしか見えなかっただろうなぁ。でも、こんなこともう一生無いでしょうね。まさか、大滝さんの動いてるところを見れるなんて、しかも生で、それも至近距離で、おまけに握手まで。ヤバイっすよもう。

  • 2001年3月24日に池袋の新文芸座にて行われた「高田文夫と5人の団塊者」に参加。この日のことも当時のサイトに書いたものが残ってるので、恥ずかしながら再掲載。


三日遅れで、大滝詠一『A LONG VACATION〜20th Anniversary Edition』購入。本来ならば、3月21日に買うのが筋ってもんだけど、なかなか時間がなくってね。で、その大滝さんが珍しく人前に現れるというので、池袋の新文芸座へ行ってきました。『高田文夫と5人の団塊者』と銘打たれシリーズ企画の第4回目。高田さんと大滝さんのトークショー+大滝さんが選んだ“小林旭主演映画”3本立てのオールナイトという催しです。自称、“小林旭風”のファッションに身をつつみ、赤いギターを担いで登場した大滝さん。その衣装を揃えるのに、アメ横に三日通ったとか。“アキラファッョン”に合わせたのか、ヒゲを剃り、ヘアスタイルも昨年拝見した時より随分とスッキリしてましたね。二年連続で生の大滝さんが見れたという貴重な体験をしたボクは、もう二度と見れないかもしれないそのお姿を、心のシャッターで撮りまくり、脳裏に焼き付けておきました。

最初にも書いたように、まだ、ご冥福をお祈りします、って感じじゃないけど・・・。

大滝さん、僕はリスナーとして、または勉強家として成長できてますか?