野村義男『待たせてSORRY』

kzroom
1983年6月1日発売
LP:SJX8103
カセット:VCH703 各¥2,000
Side 1

  1. 待たせてSORRY(3:48)
    作詞:橋本淳、作曲:山本寛太郎、編曲:鷺巣詩郎
  2. 21世紀クラブ(3:33)
    作詞:橋本淳、作曲:山本寛太郎、編曲:後藤次利
  3. めちゃめちゃロックンロール(3:24)
    作詞:竹中尚人、作曲:竹中尚人、編曲:竹中尚人
  4. 君だけにこの愛を(4:06)
    作詞:橋本淳、作曲:山本寛太郎、編曲:井上鑑
  5. メロディーライン(3:00)
    作詞:橋本淳、作曲:亀井登志夫、編曲:後藤次利

Side 2

  1. 金の靴 銀の靴(3:43)
    作詞:橋本淳、作曲:山本寛太郎、編曲:萩田光男
  2. トラブル(3:22)
    作詞:橋本淳、作曲:山本寛太郎、編曲:後藤次利
  3. スペース・ファンタジー(3:58)
    作詞:橋本淳、作曲:山本寛太郎、編曲:井上鑑
  4. From the Beginning(3:12)
    作曲:竹中尚人、編曲:竹中尚人

現在の野村義男さんの音楽性を考えると、このアルバムはかなり特異なポジションに位置する内容なので、“ファーストソロアルバム”として考えるのはちょっと無理があるかなぁ、という気がしないでもないけど、これがあったからこそ、その後の展開へ(外部から見た目には)スムーズに繋げたんだろうな、とも思う。

作家陣を見ると、グッバイのデビューシングルとなった「気まぐれOne Way Boy」は、このアルバムの製作過程の延長線上にあったのかな、って気がしますね。実際、音の感触もかなり近いものがあったりするけど、そのへんの事情には触れないでおきます。

義男さんのソロデビューが発表された後、テレビの音楽番組で「待たせてSORRY」〜「めちゃめちゃロックンロール」をメドレーで(順番は逆だったかも)演奏する姿を頻繁に目にしたけど、その時の印象は、このアルバムのリマスターCD『FINAL Edition』にボーナストラックとして収録されているリハーサル音源と、かなり近い。ジャケ写でも持ってるMOONのギターを抱えてアームをギュインギュインやってた姿は、ハッキリ脳裏に焼きついてますね。

このアルバムがリリースされる直前にプロモーション用の7インチアナログ盤がプレスされているので、併せて紹介しておきます。内容は以下のとおり。Side 2の2曲は曲間無しでクロスフェード編集されてます。

Side 1
1.待たせてSORRY
Side 2
1.めちゃめちゃロックンロール
2.トラブル

レコード番号:TLP-3034

なんとモノラルMIXで、これはこれでなかなかカッコイイですよ。「待たせてSORRY」の頭のギターを初めて聴いた時、The Ramonesの「Rock 'N' Roll High School」の感じを狙ったのかな?って気がしたんだけど、その「Rock 'N' Roll High School」をプロデュースしたPhil Spectorが提唱してた“Back To Mono”に倣ってモノラルMIXを作成した、なんてことはたぶんないと思う。このイントロの“♪ジャ〜ン”は、普通に考えればThe Beatlesの「A Hard Day's Night」でしょうね(その後に続く“1,2,3,4〜”のカウントが、実はDeeDee Ramoneを意識してた、なんてことだったら、それはそれで嬉しい)*1

ところで、当時FM番組で「待たせて〜」が流れたのをエアチェックしたテープがあるんだけど、それはステレオMIXなんだよね。このアルバム自体の見本盤(12インチ)はステレオMIXなので、そっちを放送に使ってたのかな?

2004年にリリースされたCD『待たせてSORRY FINAL Edition』には上記の9曲以外に、ボーナストラックとして以下の8曲が追加収録されている。

  • Bye-Bye Wedding
    作詞:野村義男、作曲:渡辺敬之、編曲:渡辺敬之
  • OK! 決めたぜビーチ
    作詞:橋本淳、作曲:後藤次利、編曲:後藤次利
  • プールサイド ビューティー
    作詞:橋本淳、作曲:山本寛太郎、編曲:井上鑑
  • 朝の光はおまえに
    作詞:竹中尚人、作曲:竹中尚人、編曲:竹中尚人
  • From the Beginning
  • 待たせてSORRY
  • めちゃめちゃロックンロール
  • トラブル

2004年10月27日発売
VICL-61515 ¥2,300

「Bye-Bye Wedding」の作者の組み合わせだけ、このアルバムの中ではちょっと異質だけど、これはどういった経緯でこうなったんだろうね?「Bye-Bye〜」は義男さん作詞作品としては最も初期の曲なので、いろいろな意味でかなり重要。の3曲は、“トリオザグッバイ+川原さん”による演奏で、かなりレア*2

1986年には『待たせてSorry Complete』というCDもリリースされていて、収録曲はオリジナルの9曲+「Bye-Bye Wedding」、「OK! 決めたぜビーチ」、「プールサイド ビューティー」の全12曲。現在では『待たせてSORRY FINAL Edition』を買えば全ての曲が揃うので、わざわざ探すこともないでしょう。

『待たせてSorry Complete』
1986年5月21日発売
VDR-1180 ¥3,200

↑に載せた画像は、オリジナルアナログ盤(12インチ)、プロモ盤(7インチ)、CD、カセット、のジャケット4種類を重ねて撮影したもの。カセットのジャケット写真だけ、よく見るとトリミングが膝の下までですね。

本盤は「東京楽譜出版社」よりバンドスコアも発売されている。表紙は義男さんの顔のイラスト。レコードのジャケ写と同じ写真の表紙だったら、↑の画像に混ぜたんだけどね。

***

追記:
収録曲の多くを作曲した山本寛太郎氏による、「21世紀クラブ」、「金の靴 銀の靴」、「トラブル」、「プールサイド ビューティー」のデモ音源が公開されている。この段階のデモで既に歌詞が完成されていることから、全て詞先で製作されていたことがわかりますね。
http://www.clinchlure.com/sites/Songs.htm

*1:「A Hard Day's Night」のイントロの不協和音については諸説あって、特定のコードネームでは表せないみたい。「待たせてSORRY」のイントロは僕が聴いた限りだとCm7add11に聴こえるんだけど、違うかな?。ちなみに「Rock 'N' Roll High School」は、ラモーンズらしくシンプルにC♯。ただしスタジオバージョン(『End of the Century』収録版)とライブとではキーが半音違うので(スタジオバージョンの方が半音低い)、レーコーディング時に半音下げチューニングで弾いているか、レギュラーチューニングでレコーディングした後にテープスピードを半音分落としてる可能性はある(フィル・スペクターならやりそう)。『Ramones Mania』に収録されてるStereo Movie Mixなどはライブと同じキーなので、やっぱりテープスピード落としなのかな?教えて>ラモーンズマニア殿

*2:やっちんは田原俊彦のコンサートツアーに同行していたため不参加